渡部さとるさんのYouTube

同い年の写真家であり写真の指導者、近頃はYouTuberでもある渡部さとるさんの取材を受けました。前日から眼が充血して涙を流しながらのお見苦しい対談ですが、楽しんでいただければ嬉しいです。チャンネル登録していただければ渡部さんが喜びます。

第一回 写真の話

第二回 カメラの話

aroma di sicilia

祐天寺Paper Pool でのValoy展を再現してみました。しかしAristaの特殊な印画紙を使ったプリントの質感までは、どうしても出せません。

「ロバート・フランクを送る、最後の面会」

清里フォトアートミュージアムでこの夏三ヶ月にわたって開かれていたロバート・フランク展。
「まだ車に乗れるよ」と誘ってくれた友人N氏に連れられ、その最終日に行けることになった。
実は、つい先日まで、もう見なくていいんじゃないかと思っていた。散々見たつもりだったし、その度に十分打ちのめされた。これからは自分の写真とだけ関わっていきたいという思いが強かった。
9月10日、家族だった愛犬ジーノの一周忌で思い出に耽っていたとき、前日の9日にロバート・フランクが亡くなったというNYタイムズの記事が目に止まった。「会えるときに会ったほうがいいよ」 とジーノが言ってる気がした。

中央道を走る間、次々と架かる虹に先導されて、静まりかえった朝の美術館に着いた。二組目だった。展示が開くまで中庭を見ていたら、何台かの車が到着して駐車場が埋まりはじめていた。
大規模な写真展は緊張する。あまりにも感情が揺さぶられ、その結果、受け入れる限界を超えて、気持ちが反応しなくなってしまった経験が何度もあったから。
まずひとまわり、入り込み過ぎないように見る。そのあとで見なおしたい気持ちが強い写真からもう一度丹念に見る。限界が近づいたら潔く止める。
感情の崩壊を起こさないために学んだ写真展を見る方法だ。
予習はしていた。行けると決まってから毎日、時間を見つけては「THE AMERICANS」のページを開いて見なおした。良い写真集とバイブルとまで言われる写真集の差は、度々見返す、その頻度に堪える抱えるものの厚みだ。飽きた、と思ったあとから、やっと本質が見えてくる。

実際に一枚一枚の写真を見た話は、ここにどう書いていいのか分からない。誰にでも伝わる情報なら、画面サイズが330X220くらいが多く、それは大四切りで焼いている自分のサイズとほとんど同じで、この大きさでいい、これで続けたいと思ったこと。アンダーパーフォレーションエフェクトの出た写真が何点もあり、トリミング&水平出しでアメリカンズに収められていること。逆光や光量不足の場面では写真のコントラストが下がることを気にしていないプリントで仕上げていること。検証作業で後年の撮影と思われる写真でも遡った撮影年で通してる作品が何点かあること。昨日焼いたような劣化の無いプリントばかりだったこと。それから、それから。

ひとつ、ずっと思っていて、今回もあらためて間違いないと思ったことだけ書いておこう。アメリカに流れ着いたヨーロッパ人でありユダヤ人のフランクが、アメリカのどこに行き、誰に会おうとも拭い去れなかった居心地の悪さ、よそ者としての自覚、周囲に抱く違和感、それがシャッターを押させている。
彼が告発したといわれるアメリカの暗部、出来上がった写真集の歴史的、政治的、社会的な意味というようなものは、後付けの副産物に過ぎない。そこに存在意義を見いだすのは評論家の仕事、写真家であればシャッターを押させたフランクの気持ちにだけ寄り添えばいい。

同行のN氏が言った。
「被写体を獲物のように自分のものにしていったブレッソンとは全然違いますね」
そう、どこまでいっても、そこに写っているものはフランクが見ることになった現実という対象であって、写真にするための獲物ではなかったんだ。

これからも5年10年という周期で、どこかでロバート・フランク展は繰り返されるだろう。でももうボクはいいんだ。今日この展示で最後にする。安らかに。

Nさん、ありがとうございました。

FILM CAMERA STYLE vol.5

フイルムカメラスタイルの5号が発売になりました。表2見開きのフォクトレンダーの広告に写真を使っていただき、編集ページでも撮らせて頂いています。撮影に使用したレンズはNOKTON Vintage Line 75mm F1.5 Aspherical VM とNOKTON clsssic 35mm F1.4 Ⅱ です。ぜひ、手にとって御覧ください。よろしくお願いします。

NOKTON classic 35mm F1.4 II 発表

人気のレンズが、デジタルの特性に細かく対応して、引き続き販売されることになりました。軽量コンパクトな姿は変わらず、ますますお薦めのレンズになりました。

GRⅢ

GRⅢの試作機をお借りして撮影しました。こんなふうに写るんだ、と思われることがよくあるのですが、こんなふうに「も」写る、ということであくまでも例であり答ではありません。ファームウェアアップデートのお忙しい時期に機材を貸し出していただいたRICOHさんに感謝します。

CP+ 2019

コシナさんのカタログです。珍しい公式ステッカーと一緒に。

La mia terra promessa

家族だった愛犬ジーノの灰を、パレルモ湾の砂浜から海に撒きました。目の前に見えたいくつかの骨も、数回波が寄せて引くと、どこにあるのかわからなくなりました。今頃は元気だった頃のように跳ねながら走り回っていることでしょう。もうこれでシチリアは、旅先のひとつから約束の地になりました。また帰ってくるときには、暖かく迎えてくれると思います。

ミラノで深瀬昌久展を見る

ミラノやローマといった大都市はもちろんのこと、イタリアの地方都市でも有名作家の写真展に出会うことは多かった。しかし今回のような日本人作家は初めて。それも荒木、森山ではない深瀬さんの展示というところに不思議な縁を感じてしまう。会場にも展示されていたカメラ毎日を子供の頃に見た、その記憶が消えることなく残っていたからだと思う。
じつのところ東京で写真展を見る場合、その時々の日常から生まれた感情ににどうしても引っ張られてしまう。他人の写真を見たい気分ではないとき、無理に見ても全く気持ちが入って行かないから、話題の展示を見てないとか、知人の個展に行ってないとか不義理は数えきれないけれど、そういうものだし、それでいいとも思っている。前回六本木で深瀬さんの展示を見たときは、こちらの気持ちが十分ではなかった。
今回たまたまイタリア撮影の日程と重なる日があったので、朝一番に会場に駆けつけた。イタリアではよくあることだけど当然のように貸切状態で、こちらも日常から離れた写真脳になっているから、どんどんぐんぐん感情が入ってくる。「ああ、ミラノでブクブク見られるなんて・・・」それだけでもウルウル来てしまった。(繰り返しの繰り返し、失礼。)
展示のディレクションはもちろんトモ・コスガさん。イタリアでも規模が大きい、そして有名作家になればなるほど、その展示は壁面に等間隔、というパターンが多い気がするけれど、トモさんは作品の大小、壁面のレイアウト共に上手いなぁ、と思う。
日程の初日に深瀬さんを見たことで暖機運転は十分。
「あとは撮るだけ」はいつもの決まり文句。

ちなみにミラノでは「洋子」も見られますが、そのことが突出した魅力ということではなく、深瀬昌久という写真に魅入られた一人の人間の、写真との格闘の一場面、という感じでした。

撮影自由だったので、いくつか撮らせてもらいましたが、今朝から髪の毛の寝癖が取れないまま見ていると、全く同じ寝癖?の深瀬さんがいたので上の写真を撮りました。笑

RICOH GRⅢの内覧会に。

来春発売予定の新しいGR。その内覧会に行ってきました。電源offからの立ち上がりをまずチェック、レンズの繰り出し速度、液晶の点灯どちらも驚く速さ。焦点距離を固定するスナップモードが速いのは当然としても、普通のAFモードでも十分に速い。「構えた時には撮れる」カメラでした。これからファームウェア等ソフトを追い込んでいくらしいので、発売時にはより洗練されていることでしょう。全体の大きさも小さかった頃に戻り、その大きさの中に手ぶれ補正も押し込んだということですから、コンパクトカメラとしては最強かと思われます。なによりGRに好感が持てるのは、「撮ってる人が開発してる」感じが伝わってくるところなのかなと思っています。
同じ会場でGRで撮影した写真をTシャツにプリントした写真展が開かれています。27人の写真家による展示と共にTシャツの販売もしています。私の写真はイタリア、リボルノの風景です。Tシャツのサイズも豊富に準備されているようなので是非。リコーイメージングスクエア新宿で、17日までです。

11/30(Fri.)・12/1(Sat.)・12/2(Sun.)

今週末参加することになりましたイベント、photocampです。
天気も良さそうなので、ぜひ皆様お出かけください。
東品川2-1-3   天王洲キャナルイースト、寺田倉庫BC号棟1F
入口を入って3つ目「KANO MITSURU & MOTIONS」のブースでお待ちしています。

エディション外、規格外のプリントも持ち込む予定です。お楽しみに。

PHOTO CAMP 2018

PHOTO CAMP 2018 に参加します。

PHOTO MARKET のブースでオリジナルプリント、ポスター、パネル、FIAT写真集等の販売を予定しています。ぜひお越しください。

会場
〒140-0002 東京都品川区東品川2丁目1-3
天王洲キャナルイースト
Warehouse TERRADA B&C HALL(寺田倉庫BC号棟)

会期
2018/11/30(金)17:00~21:00
2018/12/1(土)11:00~20:00
2018/12/2(日)11:00~18~00

#PHOTOCAMP2018

「尾道の時計」

国内で撮影した写真のプリントをお買い上げいただいたので、久しぶりに「尾道の時計」を焼きました。イタリアの写真ばかり焼いていたので自分でも新鮮です。

見る

『私は絵の鑑賞法についてはまったくの素人である。人に教えられたこともないし、とくに専門書で学んだこともない。ひとりで勝手に好きだ、きらいだときめ、森の気ままな散歩者のように美術館に入っていき、眺めていき、通過していくだけである。その好き、きらいも、たいてい、最初の一瞥できめてしまう。最初の一瞥で眼をうたれなかったらどんな“名作”のまえに三時間佇んで凝視をしても徒労である。わかった顔をして無理な議論をするのはしんどい。ときには議論をしていてハッと愕かされるような意見に出会うことがあるが、そこでもとの画を見なおしても、あまりピンとこない。愕くのはその人とその意見についてなのであって、それは貴重な知覚であるから大事にしたいが、だといって最初の一瞥で得たもの、得なかったものがその意見によって変貌を起すということがない。』

「見る」 開高健 より

大好きな開高健は、小説家、エッセイストという肩書だから言葉の人と言っていいでしょう。その言葉を何故魅力あるものとして私が受けとめられるかといえば、言葉を綴る前に五感の刺激に敏感であり、そのことに正直であるからです。引用した文章の「絵」は「写真」と置き換えられます。そして後半の文章は、逆説的に今どきの写真周辺に巣くう言葉の人々の存在を浮かび上がらせます。つまり、自己の思考と論説の下に視神経の刺激を押し込めた人の文章には魅力がないのです。上の文章を見つけたとき、さすが開高さん!と微笑んでしまいました。ただこの「一瞥できめてしまう」ときに、その人の人生が現れ出るわけで、軽薄な一瞥を肯定するものではありません。

新宿御苑

 

 

 

 

大学一年生の課題。直前に見たウィン・バロックの影響をもろに受けているのはご愛敬としても、フジブロ2号印画紙の銀を厚盛りしたような仕上がりは、今見ても魅力がありますね。周りの台紙は酸化して元のグレーからピンクっぽく変色しているけれど、水道水で洗っただけのプリントはまったく劣化していません。今でもプリントに迷うと引っぱり出してくる原点のプリントです。Nikon F2.Nikkor28mm

つながる

ある仕事があって、ある人がいて。「あの人があの仕事を出来るように、どこかでつながればいいな」と思っていたふたつが、昨日つながった。周りのひとのおかげかもしれないけれど、最初から結びつく運命だったのかもしれない。その知らせをもらったとき、自分のこと以上にうれしかった。きっといい仕事になる。

写真家の言葉・土門拳


以下略(ニッコールレンズ読本3から)

東北、酒田の生まれ。車椅子の生活になっても執念で写真を撮り続けた、しぶとく泥臭い印象の土門拳。江戸っ子の粋な写真家、木村伊兵衛と対照的に語られることの多い土門拳だけれど、好きですよ、私は。この文章にあるような言葉を敢えて口にする人は、今の世の中では煙たがられるというか、これが書かれた70年代以上に嫌われると思う。けれどこれを書くことで鎧を纏い、傷つきやすい自分を守っていることは容易に想像が付くし、言葉の本意を思わなければならない。自分と比べることが失礼なほど才能、努力の差は明らかだけれど、ただそれでも等しく 「人生は一回きりである」ことに違いはない。そんなことを思わせられる出来事があったので、今日は敢えて鬱陶しいことを書いてみました。

GRで撮りTシャツにプリントする

まだまだ先のイベントですが、GRで撮影した写真を、Tシャツにプリントするという写真展。いつもとは用途がちがうので、写真のセレクトに迷いました。人物のストリートスナップばかり撮っていた中で、最終的にランドスケープと言ってもいい写真を選んだことが、どんなふうに見られるのか、今から楽しみです。なにはともあれ呼んでいただき、ありがとうございました。

MASAHISA FUKASE

先日、深瀬さんの写真集出版記念イベント、Tomo Kosuga / 戸田昌子 両氏のトークイベントに出かけた。もう15年近く前になるのか、ネット上で深瀬さんを検索しても、ほとんど目ぼしい情報がなかった頃、ひとつだけ、深瀬さんの掲載雑誌を網羅した妙に熱いブログがあった。それが今回のイベントのスピーカー、Tomo Kosuga さんが作ったものだった。内緒でキャプチャーして雑誌集めの参考にさせてもらった。考えてみると、今まで「鴉」ブームは続いていたけれど、「深瀬」ブームと言えるものはなかったように思う。今、それが起きようとしているのを見ると、ひとりの人間の長く一途な情熱が、こうやって実を結ぶのか!という物語に立ち会えたようで、こちらまでワクワクしてくるのだった。

以下は以前のブログで深瀬さんについて書いたことから、いくつかの覚え書き。

 

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「いつも愛する者を、写真を写すという名目でまきぞえにし私も含めてだれも幸せにはできなかった」

深瀬昌久 洋子1974

 

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「だからそこが深瀬さんの過激なところで、ぼくなんて、子供もいるし家庭があったりするけど、目はそっちへ全然行かないのよね。深瀬さんを見ていると、ふと自分の写しているものって一体何だろうなというふうに思うときがある。荒木さんだって、深瀬さんほど濃密、ストレートではないけれど、奥さんを撮り、お母さん、お父さんの亡くなったときを撮りってきちんと残しているじゃない。ぼくなんかおふくろが死んだとき、一枚も写真を撮らなかった。普通なら、写真をやっているということが根っこにあったとき、家族であるとか、肉親の死であるとかは、まあ状態によるとしても、一枚はきちんとレンズを向けるじゃない。そういうのがぼくにはない。そういう自分自身を何だろうって、ときどき思うんだよね。オレって薄情なのかなあ、なんてさ」

深瀬昌久氏との対話 「通過者の視線」森山大道

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深瀬さんの「鴉」はカメラ毎日に長期連載され、それをもとに写真集がつくられた。

シリーズの始まりはいつなのかと探してみると’76年の10月号で、

同月の銀座ニコンサロンでの個展も告知されている。

驚いたのは全てカラー作品であること。

深瀬さん(このとき42歳)の解説によると、個展は、

「モノクロームの腕によりをかけたオリジナルプリントの展示となる予定」とある。

 

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「ストロボはナショナルのPE400(GN40)、トライXでD76の原液28度C 30分の増感です」

カメラ毎日’78年1月号、深瀬昌久本人の解説から

FILM CAMERA STYLE vol.3

本日9/26発売です。フォクトレンダーの新レンズ、Nokton 50mm F1.2 を使ってイタリア、ミラノからほど近いブレシャとその近郊の街を撮りました。ブレシャはミッレ・ミリアのスタート地としても知られ、その博物館もあります。ミラノほどの喧噪はないものの、裕福で落ち着いた印象の街でした。そうそう、カメラ博物館もありましたね。すごい数のカメラが展示されていましたが、カメラ以外でも、特に引伸し機の数は驚くものがありました。
Nokton 5012 は僕としては上がりのレンズ、これが一本あればフイルムもデジタルも文句ないと思いました。ツアイスZMの3514とセットにすれば、Mマウント・レンジファインダーの今を感じられると思います。チョートクさんは古今東西、名の知れた写真家で、レンズのボケを云々したものはいないと言ってましたが、あえて言うと、ボケも綺麗です。笑